清流・清泉「黄金川」
スイゼンジノリの自生する福岡県朝倉市にある黄金川(こがねがわ)は、長さわずか2キロ・深さ50センチ程の短い川で地下水が源流です。川床一面から驚くほど綺麗な湧き水が湧き出ており、さらに四季を通じて大きな水温の変化がなく18〜20度と安定しており、ミネラル(特にカルシウムの含有量が多い)が豊富な、全国でも極めて珍しい小川です。また、近年ではスイゼンジノリ以外にも8種の希少種を含む多様な動植物の生息が確認されており、黄金川は多くの希少水生生物にとって重要な生息場所となっている事がわかっています。
この黄金川の特別な環境のおかげで日本全国で唯一スイゼンジノリは自生する事ができていますが、近年の環境破壊による水質汚染や集中豪雨・台風などの天災も重なり、現在では人の手を借りながら厳しい環境下の中で育まれています。
いつの時代も変わらぬ伝統。
全行程を熟練の職人による匠の手で。
朝倉市屋永にある「遠藤金川堂」。
母屋の隣にある地下水の流れる作業場では、黄金川から収穫されたスイゼンジノリを草や藻と分別するため、熟練の職人が静かに一つ一つ手作業で丁寧にスイゼンジノリの洗浄・選別を行います。
これは創業当初より守り続けてこられた伝統製法で、痛みやすいスイゼンジノリを機械などに頼らず匠の手さばきにより的確に素早く仕分けします。
スイゼンジノリの成長に合わせた
人の手による自然に優しい収穫方法。
スイゼンジノリは黄金川の川床で自然発生的に幼葉が発芽し、2〜3ヶ月で葉長10センチ・葉茎8センチ・厚さ3ミリほどの不定形な成葉になり、自然と遊離し水中に漂い出します。その成葉を採取し、洗浄・選別を行う中で出てくる小さな若芽は再び黄金川へ帰され、引き続き自然環境の中で人の手を借り大事に育成を見守られます。
黄金川の採葉場にはスイゼンジノリが流れていかないように、い草や水菖浦(みずしょうぶ)などが植えられており、それらに引っ掛かったスイゼンジノリを手網などで丁寧に採取されています。
絶滅危惧種・スイゼンジノリと
豊かな生命を育む美しい黄金川を守る。
黄金川の川床から自然に湧き出ていた綺麗な湧き水は、昨今の環境悪化も伴って地下水の減少により川の水量が減少、川幅も以前より狭くなってきています。現在黄金川上流にポンプを設置し、黄金川の水量維持の為に地下水を汲み上げ、下流に向かって水を流さなければ黄金川が枯れてしまう可能性があるほどに水量が減ってしまっています。
スイゼンジノリの収穫量もまた、最盛期には年間約200トン程ありましたが、現在では大変残念なことに10分の1程にまで激減しているのです。
このような厳しい現状の中でも、スイゼンジノリの自生の手助けと黄金川の保全の「守り手」として、伝統と共に未来へ繋ぐ活動に尽力されています。
江戸寛政5年創業
川茸元祖 遠藤金川堂
スイゼンジノリ(以下:川茸)は食用として、長い歴史の中で秋月藩より幕府への献上品として大切に扱われてきた由緒ある逸品であり、川茸が自生する黄金川という名前も当時秋月藩の財政を遠藤金川堂の献上品が支えていたことから命名されました。
当時この黄金川に入る事を許されたのは遠藤家だけに与えられた特権であった事もあり、遠藤一族は代々に渡り長い歳月をかけて川茸やその他貴重な水生植物・生物を育む黄金川を守り続けており、川茸の養殖というよりもむしろ、天然の川茸の「自生」の為の手助けを行いながら、その過程ですくすくと育った貴重な川茸を黄金川からの自然の恵みとして享受する、という言葉の方が正しいのかもしれません。
その遠藤金川堂が収穫し製造・加工したものだけを「川茸」と呼び、古来より地元も名産品として愛されてきた最高の一品なのです。
近年、川茸から「スイゼンジノリ多糖体(サクラン)」という成分が見つかり、美容業界を中心に注目されるようになってきました。人にとって有用な成分が沢山含まれたこの翠の宝石のような川茸を、美容のみならず文化や歴史そのものに深い関心をもち、絶滅危惧種となっていることによるその価値や昨今の環境問題について少しでも多くの方々に知っていただければ幸いです。
合資会社川茸元祖遠藤金川堂
十七代当主遠 藤 淳氏
*この度は取材のご協力ありがとうございました
スイゼンジノリ多糖体
奇跡の成分「サクラン」を含むファブロウ。
福岡県朝倉市の生産者の方々が大切に育て上げられた大変貴重なスイゼンジノリからほんの僅かのみ抽出される成分「スイゼンジノリ多糖体(サクラン)」を、FABROUはメンズフェイシャルソープとボディソープへ贅沢に使用させていただいております。
スイゼンジノリ多糖体(サクラン)は、同じ高分子多糖類であり保湿剤として広く知られているヒアルロン酸Naと比較して、約5~10倍の保水力を有し、角質層表面を柔軟化するとともに皮膚内部からの水分蒸散を抑制する非常に優れた効果があると考えられています。取材にご協力いただいた遠藤さんご自身も、「長い事スイゼンジノリの生産・加工で年中冷たい水仕事をしているが、手荒れなどを気にした事が無い」と言うほど。また、食用・美容のみならず、医療や工業といった多分野の業界からもスイゼンジノリのもつ奇跡の力が注目を集めています。
収穫量が激減し、現在ではごくわずかしか採れない絶滅危惧種I類である黄金川産のスイゼンジノリ。そのスイゼンジノリの成分をFABROUは配合しているからこそ、私達FABROUはもっとスイゼンジノリやそれを育む黄金川の環境を良く知り、その事を少しでも広く製品をご愛用くださる皆さまにも共感していただければ幸いです。